ロンドン生活ブログ。音楽のこと、ファッションのこと、ピアノのレッスンのこと、その他雑感、クラシックな物事が好きな夫婦のフツウの話。
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16.Jul.2006
形のないアート
3月19日に ICAギャラリーに行ってきた時のお話。

ヴェネツィア ヴィエンナーレドイツ館代表や横浜トリエンナーレへの出展など、巷でその名を馳せているTino Sehgalのエキシビジョンの最終日。
昨年からICAではじまった三年に渡って行われる三部作の二作目になる今年は、昨年の一作目とまた趣を変えつつも、相変わらず彼独自の型破りな表現が話題を呼んでいます。

まず受付を済ませると、十歳位の女の子がやってきて中に案内してくれると言う。
彼女について一階のギャラリーに入ると『progressって何?』と聞かれる。しばし空っぽのギャラリーを誘導され歩きながら彼女と妻と三人で「progress」について話し合う。
別の従業員出口でホスト役が彼女から青年にバトンタッチされるが、何の違和感もなく同じテーマを発展させ、話し合いが続けられる。
細い通路から階段ーカフェーまた階段ー二階のギャラリー(こちらも空っぽ)ーまた階段ーカフェ、と結局ICAの館内をぐるぐると歩き回り、案内役も青年ーおばさんー老男性、と引き継がれていったが、違和感が全くなく、終始「progress」を題に建築物、社会、コミュニティ、夫婦仲、人間の進化(参加する人によって全く変わった内容になると思います)などについて話し合い、最後の案内役である老男性と握手し、終了した。

結局ただ話をしただけで、直接視覚による鑑賞ということをしなかったわけだけど、常に前進しながら「progress」についてあれこれ思案するというシンプルな仕掛けに、いろいろな錯覚に陥ったり、なんとも不思議な体験でした。

この無形のエキシビジョンの題はその名も、「This progress]。
Sehgalの振付け師、政治経済のバックグラウンドが、今回の彼の作品に大きく働いていると踏むのはちょっとこじつけが過ぎるでしょうか。

第一回目のときもそうでしたが彼の作品にはいわゆる”モノ”が存在しません、それどころか契約時の書類や、購入できる彼の作品(これはもちろん)のレシートにいたるまで一切の”モノ”をプロデュースすることを行わない徹底ぶり。本当に説明し難い作品なので、直接体験してもらうしかないのですが、残念な事に日曜で終わってしまいました。これに興味を持った方。第三部をお見逃しなく!
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How intriguing !
お恥ずかしい事に、modern art は all Greek to me という私ですが、この催しには非常に興味を惹かれました。つまるところ、芸術は人間が作り出し、人間が観賞するものだと思うからです。是非とも体験してみたいexhibitionです。
Katy 2006/07/20(Thu)12:42:19 編集
Re:How intriguing !
いつの世にも芸術にそれをめぐる人間の利害が絡んだどろどろした部分はつきものですね、このアーティストはそんな現代に一石投じる役割を果たしているようでとても興味深いです。
【2006/07/21 20:48】
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