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26.May.2008
ベートーヴェンと徳永英明がいい。
ベートーヴェンと徳永英明がいい。
週刊classic vol.64は、ベートーヴェンのヴァイオリンソナタ5番、通称「春」です。
中にも書きましたが、この宝石のような曲を書いたとき、ベートーヴェンは絶望の真っ只中にいました。
音楽が生きる全てだったベートーヴェンが20代後半からずっと怯え苦しんでいたこと、それは、聴覚を失う恐怖。
日々悪化の一途をたどる彼の病気は、彼から回復という希望を奪い去りました。
この曲を作った翌年に彼が書いた遺書があります。
愚かな医者にだまされて、見込みのない未来を信じて、ただ苦しい日々を送ってきた自分。
人と喜びを分かち合いたいのに、自分から人との関わりを避け、孤独を生きてきた自分。
音楽家である自分が、誰よりも優れた聴覚を失うということを、人に知られる屈辱に、どう耐えられようか。
今は絶望の淵にあっても、自分を唯一生かしてくれる芸術というもののために、自分にはなすべきことが残されている。
まだ死ねない。

彼はこの遺書を書くことで、死から自分を遠ざけました。
31歳のときのことです。
本当にあり得ない人です。
人間とは、真っ暗闇の中で、何よりもまばゆくきらめく光を生み出すことができる生き物なのですね。
ところで、今二人の中でなぜか旬なのは、徳永英明にいやんのカバー特集。
一青窈とのデュエットでは、彼女の歌い方の特性に配慮した絶妙な合わせ方を披露。曲の最後では、ハモリが難しいと思った瞬間にささっとフェイドアウトするプロな技が、さり気なくて素晴らしいです。
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