03.Feb.2025
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31.Aug.2006
モーツァルトイヤー2006と藤倉大のクラシックにおけるターンテーブリズム
モーツァルトイヤー2006と藤倉大のクラシックにおけるターンテーブリズム
題名が長くてすいません。
さて、モーツァルト生誕250周年にあたる今年は、世界どこでもモーツァルト一色ですね。そこで今回の週刊classic、vol.13ではモーツァルトの代表作であるオペラ「フィガロの結婚」を取り上げて、二週にわたってオペラ入門ということにしてみました。
私も実はオペラの中ではこれが一番好きです。出てくる曲出てくる曲個性的なアリアで飽きさせないし、何とも古典的な設定も好みです。
勧善懲悪なハッピーエンドはまるで水戸黄門をお茶の間で見たかのような平和な笑いを誘い、それでいて吉本新喜劇調のドタバタと、月9に匹敵する恋のからさわぎでもって十分満足させられつつ、かつ古雅でゆったりした気分になれるからです。
こんなひとつで何回もおいしい作品というのは、やはり只者の仕事ではありません。モーツァルトならではの手腕です。
オペラに関しては次号でも書くのでこのへんにして、28日の月曜日の話に変わりますが、ロンドンのロイヤルアルバートホールにて目下開催中のプロムスで、日本人作曲家の藤倉大氏の新作世界初演を鑑賞して参りました。
Crushing Twisterという題の、DJによるいわゆるターンテーブリズムをテーマにした曲でしたが、こんな興味をそそられる現代曲初演に立ち会ったのははじめてでした。
非常に実験的で難解な試みであり、しかし氏のプログラムノートに記された作曲経緯は純粋に新しいモノへの喜びにあふれているようで、一体どんな形に仕上がっているのか、私達夫婦のみならず観客中がわくわくしていました。
もっとも一番興奮していたのはその日の昼公演でプロムスデビューを飾ったBBCコンサートオーケストラの首席客演指揮者チャールズ・ヘーゼルウッドでした。これまでにいくつもの新作世界初演をやってる人でありながら、今回の藤倉氏の作品を力強く説明し興奮気味に紹介していたので、この作品が演奏家にとってどれほど意義深く魅力的な作品であるか分かりました。
オーケストラを3つに分割し、最もこぶりなのを真ん中に配置し、リアル音源とします。後の二つをそれぞれ左右に配し、二つのターンテーブルとなぞらえます。そしてDJとしての指揮者。
つまり、ターンテーブルとなる左右二つのオケが奏でるものは、真ん中のリアル音源オケが先に奏でた音楽をスクラッチしたものというわけです。
DJが既存の音楽をスクラッチして違う音楽を生み出すあの驚異的な技は、盤を自在に操る完璧な手業とそれを統括する音楽性の産物。何が聴衆を唸らせるかって、既存の音楽である盤から自分の感覚で瞬時に求める音を選び出す能力、リズム感も反射神経も何もかもすごいと思わせるテクニック!・・・ところがオーケストラの場合指揮者はその能力は発揮できません。指示を与えれば、約束どおりオケが音を出してくれるからです。そのかわり、指揮者の場合は二つのターンテーブルに加えリアル音源の方まで、一音残らず全て自分で指示を出しているのです。どっちもすごい・・・
しかしどっちがすごいかはどうでもよいし、こんな風にDJとオーケストラを直接比較しても意味はないのです。ですから、実際にDJのスクラッチを目の当たりにして「おお!神業!」と唸るような「目に見える楽しみ」を期待していた観客は肩透かしを食ったでしょう。
ポイントはスクラッチという概念から新しい発想を得てオーケストラ曲を書いた、というところにあるのです。そして見事にそれをやってのけた藤倉大、ということなんです。
非常におもしろく拝聴しました。
正直なところ、聴衆はあっけにとられた感にあふれていましたので、大喝采の大反響とはいきませんでしたが、それで音楽史的に成功だと思います。聴衆が瞬時に食いついてこられる“新しいモノ”なんて、おもしろくないですよね。
新しい可能性が日々様々なジャンルで試みられる今日、それにわくわくしながらも、一方で「でもやっぱりクラシックが一番ね」とお茶をすするのが好きなわたしたち。
ところで開演前にハリー・ポッターのスネイプ教授を見かけましたが、彼はあの演奏会どう思ったのでしょうね。
さて、モーツァルト生誕250周年にあたる今年は、世界どこでもモーツァルト一色ですね。そこで今回の週刊classic、vol.13ではモーツァルトの代表作であるオペラ「フィガロの結婚」を取り上げて、二週にわたってオペラ入門ということにしてみました。
私も実はオペラの中ではこれが一番好きです。出てくる曲出てくる曲個性的なアリアで飽きさせないし、何とも古典的な設定も好みです。
勧善懲悪なハッピーエンドはまるで水戸黄門をお茶の間で見たかのような平和な笑いを誘い、それでいて吉本新喜劇調のドタバタと、月9に匹敵する恋のからさわぎでもって十分満足させられつつ、かつ古雅でゆったりした気分になれるからです。
こんなひとつで何回もおいしい作品というのは、やはり只者の仕事ではありません。モーツァルトならではの手腕です。
オペラに関しては次号でも書くのでこのへんにして、28日の月曜日の話に変わりますが、ロンドンのロイヤルアルバートホールにて目下開催中のプロムスで、日本人作曲家の藤倉大氏の新作世界初演を鑑賞して参りました。
Crushing Twisterという題の、DJによるいわゆるターンテーブリズムをテーマにした曲でしたが、こんな興味をそそられる現代曲初演に立ち会ったのははじめてでした。
非常に実験的で難解な試みであり、しかし氏のプログラムノートに記された作曲経緯は純粋に新しいモノへの喜びにあふれているようで、一体どんな形に仕上がっているのか、私達夫婦のみならず観客中がわくわくしていました。
もっとも一番興奮していたのはその日の昼公演でプロムスデビューを飾ったBBCコンサートオーケストラの首席客演指揮者チャールズ・ヘーゼルウッドでした。これまでにいくつもの新作世界初演をやってる人でありながら、今回の藤倉氏の作品を力強く説明し興奮気味に紹介していたので、この作品が演奏家にとってどれほど意義深く魅力的な作品であるか分かりました。
オーケストラを3つに分割し、最もこぶりなのを真ん中に配置し、リアル音源とします。後の二つをそれぞれ左右に配し、二つのターンテーブルとなぞらえます。そしてDJとしての指揮者。
つまり、ターンテーブルとなる左右二つのオケが奏でるものは、真ん中のリアル音源オケが先に奏でた音楽をスクラッチしたものというわけです。
DJが既存の音楽をスクラッチして違う音楽を生み出すあの驚異的な技は、盤を自在に操る完璧な手業とそれを統括する音楽性の産物。何が聴衆を唸らせるかって、既存の音楽である盤から自分の感覚で瞬時に求める音を選び出す能力、リズム感も反射神経も何もかもすごいと思わせるテクニック!・・・ところがオーケストラの場合指揮者はその能力は発揮できません。指示を与えれば、約束どおりオケが音を出してくれるからです。そのかわり、指揮者の場合は二つのターンテーブルに加えリアル音源の方まで、一音残らず全て自分で指示を出しているのです。どっちもすごい・・・
しかしどっちがすごいかはどうでもよいし、こんな風にDJとオーケストラを直接比較しても意味はないのです。ですから、実際にDJのスクラッチを目の当たりにして「おお!神業!」と唸るような「目に見える楽しみ」を期待していた観客は肩透かしを食ったでしょう。
ポイントはスクラッチという概念から新しい発想を得てオーケストラ曲を書いた、というところにあるのです。そして見事にそれをやってのけた藤倉大、ということなんです。
非常におもしろく拝聴しました。
正直なところ、聴衆はあっけにとられた感にあふれていましたので、大喝采の大反響とはいきませんでしたが、それで音楽史的に成功だと思います。聴衆が瞬時に食いついてこられる“新しいモノ”なんて、おもしろくないですよね。
新しい可能性が日々様々なジャンルで試みられる今日、それにわくわくしながらも、一方で「でもやっぱりクラシックが一番ね」とお茶をすするのが好きなわたしたち。
ところで開演前にハリー・ポッターのスネイプ教授を見かけましたが、彼はあの演奏会どう思ったのでしょうね。
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乞う!レモリバ復活
レモリバのコメント消さないで!昔“人工頭脳の怪”というホラー映画を観たのを思い出したけど、あれに比べればレモリバはオツムテンで、やっぱり人間の方が偉いんだって安心できますもん(^_^;)
スネイプは黒髪びっしりはびこってましたか?最新バージョンではスネイプはかなりの暗躍をしている模様・・まだ最初の方しか読んでないので、後は言わないで!
スネイプは黒髪びっしりはびこってましたか?最新バージョンではスネイプはかなりの暗躍をしている模様・・まだ最初の方しか読んでないので、後は言わないで!
うむ。
確かにレモリバ文意をまるで理解してないもんね。機会が人間をおびやかすまでにはまだ当分かかりそうやね。
それにしても「人工頭脳の怪」って一体・・・?変な映画見てるね。
スネイプ教授は、白髪でうっすらしてたよ。アラン・リックマンってイギリスでは大御所です。そのわりに身軽にあんなところで立ち話してて、あんまり貫禄もなかったようだけど・・・
とりあえずレモリバはそのうちまた書くでしょう。
それにしても「人工頭脳の怪」って一体・・・?変な映画見てるね。
スネイプ教授は、白髪でうっすらしてたよ。アラン・リックマンってイギリスでは大御所です。そのわりに身軽にあんなところで立ち話してて、あんまり貫禄もなかったようだけど・・・
とりあえずレモリバはそのうちまた書くでしょう。
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